中弁連の意見
中国地方弁護士会連合会は、全国各地どこで災害が発生しても被災者支援において災害ケースマネジメントが実施されるために、
1 国に対し、災害対策基本法を改正し災害ケースマネジメントを被災者支援の中核的手法として明記すること、及びボランティアのみならず弁護士会等の士業団体を含む各種の民間支援団体との連携の強化を義務づける規定を創設し多機関連携による被災者支援の体制を明記すること
2 地方公共団体に対し、条例において災害ケースマネジメントを被災者支援の中核的手法として明記すること、地域防災計画においても災害ケースマネジメントを明記すること、及び弁護士会等の士業団体を含む各種の民間支援団体との連携による支援や現行の福祉制度の活用をはじめとする災害ケースマネジメントを推進するための具体的な実施事項を明記すること
3 国及び地方公共団体に対し、災害ケースマネジメントの実施に必要な実務者の育成・人材確保、実務者向け研修の定期実施、実施事例の記録と検証による知見の蓄積と共有、及び平時からの民間支援団体・専門職間ネットワークの構築を推進すること
をそれぞれ求めることを決議するとともに、弁護士会及び弁護士が災害ケースマネジメントの意義と実施方法を理解し、他の専門職や支援機関と連携して被災者支援活動に積極的に関与し、アウトリーチ活動、ケース会議や情報共有の場において課題整理、法的助言、関係機関連携の調整等を行い、実効性のある包括的な支援体制の構築に努めることを宣言する。
2025年(令和7年)10月31日
中国地方弁護士大会
提案理由
第1 はじめに
わが国は世界有数の自然災害多発国であり、地震、豪雨、台風、津波などによって国民の生命・身体や生活基盤が甚大な被害を受けてきた。特に近年、東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、令和6年能登半島地震など多くの大規模災害が相次ぎ、被災者の生活再建支援の重要性はますます高まっている。
同時に、高齢化の進展や地域社会のつながりの希薄化により、自助や共助の力が低減して災害時の社会の脆弱性を増大させている。このような状況下では、従来の住宅支援を中心とする画一的な支援策だけでは、被災者一人ひとりが抱える多様な課題に対応しきれず、生活再建が困難となるケースの増加が予測される。
また、被災者の生活再建は、住宅、医療、福祉、就労、教育、財産管理、債務整理、相続など多岐にわたる課題が複雑に絡み合うことが多く、特に高齢者、障がい者、子育て世帯、生活困窮者など要配慮者に対しては、個々の機関が独自に対応するのでは十分な支援が困難である。このため、被災者一人ひとりの状況に応じたオーダーメイド型の支援を多機関連携によるケース会議や個別訪問を通じて継続的に行う手法である「災害ケースマネジメント」の必要性と有効性が広く認識されるようになった。
第2 災害ケースマネジメントの制度化の歩み
2021年(令和3年)、災害対策基本法に、市町村長に高齢者、障がい者、乳幼児等のうち避難行動要支援者に該当する者についての円滑、迅速な避難を図る個別避難計画の策定の努力義務が規定され(第49条の14第1項)、要支援者への具体的支援策の計画化を進めることができるようになったことは、災害ケースマネジメントの実施に役立つ制度化といえる。
内閣府も災害ケースマネジメントを重要施策と位置付け、2022年(令和4年)3月31日に、過去の災害における災害ケースマネジメントの取組を一層推進するため「災害ケースマネジメントに関する取組事例集」を公表し、2023年(令和5年)3月には、昨今の自然災害の頻発化・激甚化の傾向、超高齢化社会の到来、地域のつながりの希薄化が進む可能性等に鑑み、近年の被災経験がない地方公共団体においても、災害ケースマネジメントを実施できるよう、参照できる手引書として「災害ケースマネジメント実施の手引き」(以下「内閣府手引き」という。)を策定した。
国の中央防災会議が2023年(令和5年)5月30日に防災基本計画を改定し、「国〔内閣府、厚生労働省〕及び地方公共団体は、被災者が自らに適した支援制度を活用して生活再建に取り組むことができるよう、災害ケースマネジメントの実施等により、見守り・相談の機会や被災者台帳等を活用したきめ細やかな支援を行うとともに、被災者が容易に支援制度を知ることができる環境の整備に努めるものとする。」と明記した。
経済財政諮問会議がとりまとめている2022年度(令和4年度)以降の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)でも、災害ケースマネジメントの促進が明記され続けており、経済財政面からも国の被災者支援の方針となった。
国は、2024年(令和6年)2月28日「令和6年能登半島地震に係る災害ケースマネジメント等の被災者に寄り添った支援の実施について(依頼)」を発出し、被災地での災害ケースマネジメントの実施を求めている。
2025年(令和7年)の災害対策基本法の改正により、国に登録した「登録被災者援護協力団体」(第33条の2)が地方公共団体の被災者台帳の情報の提供を受けることができる旨が明記され(第90条の4第1項第4号)、災害ケースマネジメントの障害となっていた国や地方公共団体と民間支援団体との情報共有の困難さが解消されることが期待されている。
このように制度化されつつある災害ケースマネジメントを実施することで、災害関連死の防止、支援漏れの防止、生活再建の迅速化に効果を上げることが期待されており、今後ますます災害ケースマネジメントの重要性が増すと考えられる。
第3 日本弁護士連合会の災害ケースマネジメントに関する取組み
日本弁護士連合会は、2016年(平成28年)2月19日付け「被災者の生活再建支援制度の抜本的な改善を求める意見書」において、災害からの復興が、憲法が保障する基本的人権を回復するための「人間の復興」でなければならず、それを実現するために災害ケースマネジメントを制度化すべきことを国や地方公共団体に求めた。
岡山県で開催された日本弁護士連合会人権大会における2021年(令和3年)10月15日付け「弁護士の使命に基づき、被災者の命と尊厳を守り抜く宣言~東日本大震災から10年を経て~」においても、日本弁護士連合会が災害ケースマネジメントの制度化を通じて、個人の尊厳に配慮したきめ細やかな被災者支援の実現のために尽力していくことを確認した。
2023年(令和5年)7月6日付け「災害ケースマネジメントの推進に向けた会長声明」において、弁護士が、基本的人権の擁護を使命とするものとして、全国のどこで災害が発生しても「人間の復興」があまねく実現されるべく、各弁護士会における災害ケースマネジメントに関する体制整備や、行政及び中間支援団体との連携強化を推し進めていくことを確認した。
2025年(令和7年)5月22日には、行政、福祉機関やNPO等が災害ケースマネジメントにおいて弁護士・弁護士会との連携を促進するためのツールとして、「弁護士・弁護士会 災害ケースマネジメント事例集」を日本弁護士連合会ウェブサイトで公開した。
第4 中国地方における災害ケースマネジメントの取組み実施について
1 平成30年7月豪雨における取組み
平成30年7月豪雨の際には、岡山県倉敷市真備地区に倉敷市真備支え合いセンターが設置され、50人程度のスタッフを雇用し、生活困窮者自立相談支援機関や障がい者相談支援機関の担当者を常駐で配置したことにより、倉敷市外へ避難・転居した世帯も含め多くの世帯(約5800世帯)を対象として、個別訪問・見守り相談支援(アウトリーチ)を中心とした避難・転居者も含めた全戸訪問や相談支援が行われ、災害ケースマネジメントの実施がなされた。
広島県では、2018年(平成30年)10月30日、広島弁護士会も加入する広島県災害復興支援士業連絡会と広島県、広島県社会福祉協議会との間で協定が締結された。同協定では、広島県の委託により広島県社会福祉協議会が運営する地域支え合いセンターから広島県災害復興支援士業連絡会に専門家派遣依頼があった場合に、担当する専門家を調整して、現地に派遣でき、複数の専門家が派遣されることもあり、被災者のニーズに合う相談体制が実現された。さらに2022年(令和4年)3月には、広島県災害復興支援士業連絡会と広島県との間で協定が締結された。この協定は、①平時より、広島県内の地域ごとの実情に応じて、災害に強いまちづくりを実現するため、防災・減災に関する専門的知見を有する士業団体を派遣すること、及び、②災害発生時に、被災者の心身の健康を確保し、生活再建に向けた各種相談活動等を実施するための専門家を派遣することにより、地域社会の防災・減災ならびに災害復興に寄与することを目的としたもので、災害発生時の専門家派遣のみならず、平時の防災教育等でも派遣できる内容となっている。
2 鳥取県における取組み
鳥取県では、2018年(平成30年)、「鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例」に災害ケースマネジメントの実施を明記し、全国の地方公共団体で初めて恒久的な制度として確立された。鳥取県防災計画においては、災害ケースマネジメントが被災者の生活再建を支える重要な柱として明記されている。
2021年(令和3年)12月、鳥取県は県内4つの専門家団体(鳥取県弁護士会、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会鳥取県支部、鳥取県建築士会、鳥取県宅地建物取引業協会)と生活復興支援協定を締結し、全県対象の支援体制を構築している。この連携により、弁護士が被災者支援制度を伝え、建築士が住宅修繕を支援し、ファイナンシャル・プランナーが資金計画を提案するなど、多角的な支援が可能となった。
また、2022年(令和4年)10月に「鳥取県災害ケースマネジメント協議会」を設立し、県・市町村・社会福祉協議会・専門士業が一丸となって連携を強化し、2023年(令和5年)3月には「鳥取県災害ケースマネジメント手引き」を作成し、標準化された手順を市町村に提供している。このように鳥取県は、全国に先駆けた災害ケースマネジメントの制度化を進めてきた。
3 岡山県における取組み
2025年(令和7年)2月、岡山弁護士会が加入する岡山県被災者支援士業連絡協議会と岡山県との間で「防災まちづくり・被災者支援・被災地復興への専門家派遣に関する協定」が締結され、災害ケースマネジメントを実施することが同協定の目的に明記された。
4 まとめ
以上のように、中国地方では全国に先駆けた災害ケースマネジメントの実施や制度化がなされている。
第5 全国各地で災害ケースマネジメントが実施されるために
1 決議事項1について
上記のとおり、災害ケースマネジメントは法律上も制度化されつつあるが、災害対策基本法には、災害ケースマネジメントそのものは明記されていない。災害ケースマネジメントを全国各地で実施するためには、国の防災基本計画に明記するだけでなく、災害対策基本法において災害ケースマネジメントを被災者支援の中核的手法にすることを明記することで、災害発生時において、災害ケースマネジメントが必ず実施されるべき重要な取り組みであるという認識が共有され、予算や人員の確保が安定的に行われる可能性が高まる。
災害対策基本法には、現在、「国及び地方公共団体は、ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割の重要性に鑑み、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならない」(第5条の3)との規定がある。しかしながら、内閣府手引き21頁以下にも記載されているとおり、災害時のみならず平時においても、ボランティアに限らず、国や地方公共団体と弁護士会等の士業団体を含む各種の民間支援団体との連携が不可欠である。そこで、同法を改正し、平時から弁護士会等士業団体を含む各種の民間支援団体と国や地方公共団体との多機関連携の強化を義務づける規定を創設する必要がある。
例えば、災害後には、住宅、保険、経済的支援、その他多くの重要な問題に関して、法的支援を必要とする被災者が多数発生するが、弁護士は、これらの複雑な問題について専門的なアドバイスを提供し、被災者が自身の権利を理解し、利用可能な支援制度に効果的に被災者がアクセスできるよう支援することができる。また、被災者間の紛争解決や、復興プロセスを妨げる可能性のある法的対立の予防においても重要な役割を果たすことができる。
弁護士会等の士業団体との連携が進んでいる地域もあるが、多くの地域では進んでいないため、国や地方公共団体と士業団体等の連携を災害対策基本法に明記することにより全国各地で連携が広がることが期待できる。
2 決議事項2について
(1)条例に災害ケースマネジメントを明記することの意義
災害ケースマネジメントの実施主体や関係機関の役割、連携体制などを条例で明確化することで、災害時の混乱を避け、円滑な情報共有と連携が可能になる。
災害ケースマネジメントの意義や内容を条例に盛り込み、広く住民に周知することで、災害発生時に被災者が適切な支援を受けやすくなり、支援への信頼感も高まる。
条例に基づく事業として災害ケースマネジメントを位置づけることで、地方交付税などの財源措置を受けやすくなる可能性があり、安定的な実施に繋がる。
(2)地域防災計画に災害ケースマネジメントの実施体制を明記することの意義
条例において災害ケースマネジメントを明記するだけでなく、その実施体制を具体化して実行するためには、地域防災計画においても災害ケースマネジメントを明記し、さらに災害ケースマネジメントの実施に関する事項を明記することが必要である。
地方公共団体の災害対応は地域防災計画に基づいて行われるので、地域防災計画に災害ケースマネジメント体制が明記されれば、地方公共団体や民間支援団体の連携や役割分担が明確になり災害ケースマネジメントの実施が円滑になる。内閣府手引きで指摘されるように、災害ケースマネジメントは福祉的視点を含む支援手法であるため、現行の福祉制度と一体化することで、平時から災害直後、災害直後から生活再建期への支援の継続が可能になる。
発災から生活再建期に至るまでの各段階における災害ケースマネジメントの実施体制、手順、役割分担などを明記する際には、初期のアセスメント、ケース会議の開催、支援計画の作成、支援の実施、進捗管理、終結といった一連の流れを具体的に明記することが必要である。
また、弁護士会、建築士会、不動産鑑定士協会や社会福祉士会などの士業団体や、NPOなどとの連携体制を具体的に明記すれば、それぞれの団体が持つ専門性や資源をどのように活用し、どの団体がどのような支援を提供するのかが明確になり、官民連携による効果的な支援体制を構築できる。
さらに、地域防災計画において、被災者が利用できる各種支援制度(災害救助法に基づく支援、被災者生活再建支援金、住宅支援や福祉支援など)について、その内容、申請方法、利用条件などを分かりやすく整理し、被災者への情報提供や利用援助に関する事項を明記する必要がある。特に、支援制度の情報が被災者に届きにくい場合や申請手続が複雑な場合には、地方公共団体と士業団体等の民間支援団体が連携して積極的に情報提供や申請支援を行うことが重要である。また、在宅被災者や高齢者、障がい者など支援を必要とするにもかかわらず支援窓口に出向くことが困難な被災者に対しては、訪問型(アウトリーチ型)の相談支援体制を整備し、その実施方法や連携体制についても地域防災計画に明記する必要がある。
加えて、地域防災計画では、行政内部の関連部署、地域支え合いセンター等の支援拠点、連携する民間支援団体などが定期的に情報共有を行うための「災害ケースマネジメント情報連携会議」の実施についても明記すべきである。これにより、被災者一人ひとりの支援状況や課題が共有され、支援の重複や漏れを防ぎ、より効果的な支援に繋げることができる。
(3)現行の福祉制度の活用をはじめとする災害ケースマネジメントを推進するための具体的な実施事項を明記することの意義
地域防災計画において、災害発生時だけでなく、被災者の生活再建を見据えた支援を行うためには、平時から災害ケースマネジメントを現行の福祉制度と一体化して実施する体制を推進することを明記することが重要である。災害時だけでなく平時から地方公共団体の福祉部局と防災部局が民間支援団体と連携し、情報共有や合同訓練などを実施することを地域防災計画において明記すべきである。また、地域で活動する社会福祉協議会や社会福祉法人、民生委員などとの連携においても平時から災害ケースマネジメントを意識しておくことが重要である。
災害によって生活困窮や病状悪化、孤立など、福祉的な支援が必要となった被災者に対しては、平時から運用されている介護保険制度、障害者総合支援制度や生活困窮者自立支援制度などの既存の福祉制度を災害ケースマネジメントの実施において積極的に活用することを地域防災計画に明記すべきである。災害ケースマネジメントにおける個別アセスメントを通じて把握された被災者のニーズに基づき、適切な福祉サービスへと繋げることが重要である。社会福祉法に規定された重層的支援体制整備事業などを活用し、属性を問わない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援などを一体的に実施することで、災害による複合的な課題を抱える被災者に対して実効性のある包括的な支援を提供できるようになり、災害ケースマネジメントの実施が可能となる。
3 決議事項3について
災害ケースマネジメントを効果的に実施するためには、専門知識と技能を持つ実務者の育成と確保が急務となる。災害ケースマネジメントに関わる人材は、被災者の個別ニーズを把握し、適切な支援計画を作成・実行する中心的な役割を担うことになるので、被災者に寄り添うコミュニケーション能力、被災者支援制度に関する知識、アセスメント能力や連携・調整能力など多岐にわたるスキルが必要である。しかし、現状では全国各地に必要なスキルを備えた人材が十分な人数いる状況とは言い難く、国や地方公共団体において体系的な研修プログラムの提供が必要である。
過去の災害における実施事例を記録・検証し、得られた知見を共有することで、災害ケースマネジメントの効果を高めることができる。国や地方公共団体が提供する研修プログラムにおいては、成功事例だけでなく、失敗事例や課題も共有し、多様な災害状況への戦略適応と将来の対応改善を図る必要がある。
災害発生時において、迅速かつ円滑な被災者支援を実現するためには、平時から国や地方公共団体、民間支援団体(社会福祉協議会、NPOなど)、専門職(弁護士、医療従事者など)間のネットワークを構築し、連携して災害ケースマネジメントを担う人材を育成することが極めて重要である。
平時からのネットワーク構築は、災害発生時のコミュニケーションと情報共有を円滑にし、支援活動の調整と資源の活用を効率化する。また、異なる主体間の信頼関係と相互理解を深め、緊急対応から長期的な復旧支援へのスムーズな移行を促進する。
ネットワークの潜在的なメンバーとその役割の例としては、法制度を構築し物資や財政的資源を提供する国や地方公共団体、きめ細やかな支援を提供するNPO、専門的な知識を提供する弁護士会等の士業団体などが挙げられる。これらの多様な主体が平時から連携することで、災害時にそれぞれの専門性と強みを活かし、「餅は餅屋」として効果的かつ効率的な被災者支援体制を構築することができる。
4 宣言について
被災者支援においては、法的課題も重要な位置を占める。弁護士は、財産管理、相続、債務整理、契約、労働問題、犯罪被害、離婚や成年後見など、被災者が直面する多様な法的問題への対応に加え、アウトリーチ活動、ケース会議、支援機関間の情報共有の場において課題整理、法的助言、関係機関調整等を担う不可欠な存在である。
また、災害ケースマネジメントの効果を最大化するためには、平時からの体制整備と実務担当者の育成が不可欠である。弁護士会と地方公共団体、社会福祉協議会、NPO、他の士業団体等があらかじめ協定を締結し、合同研修、情報共有、協議の場を定期的に設け、顔の見える関係を構築しておくことが重要である。さらに、災害発生時の迅速な支援活動のため、弁護士会においてケースマネジメントを実施する人材の養成・確保、災害ケースマネジメントに関する実施事例の記録・検証、知見の蓄積と共有を進める必要がある。
第6 結語
災害ケースマネジメントは、被災者一人ひとりの尊厳ある生活再建を支えるために不可欠な支援手法であるから、その普及と制度化が図られるべきであるとともに、弁護士会及び弁護士が積極的に関与し、他の専門職・支援機関と協働する実効性のある包括的な支援体制を構築していく必要がある。
以上の理由から、本決議及び宣言を提案するものである。
以上
