中弁連の意見
中国地方弁護士会連合会は、国に対し、刑事訴訟法第89条第4号及び同条第5号を削除するよう求める。
直ちに削除することが困難な場合も、刑事訴訟法第89条第4号の要件を「司法権の行使を妨げる客観的な危険が具体的な証拠によって認められるとき」と改正すること並びに同条第5号の要件を「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると推定するに十分な理由があることが具体的な証拠によって認められるとき」と改正することを求める。
以上のとおり決議する。
2019年(令和元年)11月1日
中国地方弁護士大会
提案理由
第1 「人質」司法とはなにか
1 刑事訴訟法89条第4号及び同条第5号
権利保釈について定める刑事訴訟法89条は、「保釈の請求があったときは次の場合を除いては、これを許さなければならない。」とし、除外規定として、同条第4号では「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」と定め、同条第5号では「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。」と定めている。
2 日本の刑事司法では、被疑者段階と起訴後勾留及び保釈制度の運用を通じ、捜査機関が描いている犯罪の嫌疑を認めない限り、長期間にわたり、身体が拘束される。黙秘や否認をしている場合には、そのこと自体が罪証隠滅の徴表として被告人に不利益に判断され、検察官立証が終了するまでは容易に保釈が認めらない現状がある。そのため、中には、保釈を得る為に嘘の自白をする者が現れ、保釈の厳しい運用が自白強要の手段と化しているのである。この実態は「人質司法」と呼ばれている(2007年(平成19年)9月14日日本弁護士連合会「勾留・保釈制度改革に関する意見書」)。
3 人質司法の弊害と課題
人質司法による弊害は、現実のものとして、数多くの冤罪事件により、その存在が実証されている。
近年明らかになった代表的な冤罪事件として、志布志事件(鹿児島地裁2007年(平成19年)2月23日無罪判決)、氷見事件(富山地裁高岡支部2007年(平成19年)10月10日再審無罪判決)、足利事件(宇都宮地裁2010年(平成22年)3月26日再審無罪判決)、北九州爪ケア事件(福岡高裁2010年(平成22年)9月16日無罪判決)、布川事件(水戸地裁土浦支部2011年(平成23年)5月24日再審無罪判決)、東住吉事件(大阪地裁2016年(平成28年)8月10日再審無罪判決)等が存在するが、これらの事件のいずれにおいても身体拘束下で自白調書が作成されており、後に捜査機関により虚偽の自白が強要されていたことが明らかになっている。
特に、志布志事件おいては、12名の被告人の内6名もの被告人が虚偽の自白をしており、6名の内3名については、公判においても虚偽の自白を維持し、保釈されてようやく否認に転じている。
また、同事件においては、虚偽の自白をした被告人が比較的早期に保釈が認められた一方で、否認を貫いていた被告人についてはいずれもが長期にわたる身体拘束を受け、その期間は最大395日間に及んだ。
判決では、「自白した方が早期に釈放されるとの認識の下、早期の釈放を期待して、否認から自白に転じ、その後も自白を維持したことが如実にうかがえる。本件のように、法定刑が比較的低く、有罪になっても、罰金刑かせいぜい執行猶予付きの懲役刑になる可能性が高いと見込まれる場合、身柄拘束を受ける被疑者・被告人にとって、刑責を負うかどうかよりも、身柄拘束がいつまで続くのかの方が、はるかに切実な問題となるのは至極当然である。(身体拘束が長期にわたり、接見禁止を付され外界との交流が遮断されている)このような状況においては、被疑者が早期に釈放されることを期待して、たとえ虚偽であっても、取調官に迎合し自白に転じる誘因が強く働くと考えられる。」と述べられており、人質司法が被疑者・被告人の防御権を奪っていく様を明らかにしている。
被疑者・被告人が防御権を行使しようとすれば、罪証隠滅のおそれがある等として、勾留が継続され、保釈は認められず、身体拘束は長期化する。被疑者・被告人は、かような実態を背景に、争うことを諦め、虚偽の自白をするに至るのである。
志布志事件においてみられるように、保釈されてようやく真意に基づき否認することができる被告人が存在することからすれば、何よりもまず、被疑者・被告人が保釈のために防御権行使を諦めざるを得ない現状が打破されなければならない。
第2 人質司法に対する動き
- 日本弁護士連合会の取り組みの経過
日本弁護士連合会においては、人質司法を打破するために、現在まで以下のような活動を行ってきた。
(1)松江宣言(1989年(平成元年)9月16日)
刑事訴訟法施行及び日本弁護士連合会発足40周年という契機にあたり、当時の刑事司法制度における様々な問題点を指摘した。人質司法との関係では、権利保釈が無きに等しい状況にあること、否認事件においては、第1回公判、或いは検察官請求証人の取調べが終了するまで保釈が認められないことが通例であること、保釈が自白強要の手段として利用されていることが指摘されている。
(2)前橋宣言(1999年(平成11年)10月15日)
松江宣言より10年が経過し、その間の日本弁護士連合会の活動について総括した。被疑者弁護の分野において実績を上げてきた一方で、1970年代に比し保釈率が3分の1以下となり、人質司法の実態はむしろ悪化していることが指摘されている。
(3)刑事司法改革に向けての提言(2000年(平成12年)7月14日)
司法制度改革審議会における刑事司法改革に関する提言であり、当時の刑事司法における問題点を意識した数々の改革提言がなされている。その中でも、保釈制度について、原則と例外が完全に逆転されて運用されていることを指摘し、身体拘束手続の適正化のために、『身体拘束理由としての「罪証を隠滅するに足りる相当な理由」という要件を削除するか、もしくは「司法運営過程への妨害」という理由に改められること』という、具体的な改正案に踏み込んだ改革案を提言した。
(4)勾留・保釈制度改革に関する意見書(2007年(平成19年)9月14日)
「人質司法」と評される勾留・保釈制度の現状を、憲法及び国際人権に適合したものにするために、勾留・保釈制度について種々の改革案を提言した。
起訴後保釈に関する改正については、刑事訴訟法第89条第4号の削除、少なくとも要件の厳格化がなされるべきであり、権利保釈の除外事由は、「司法権の行使を妨げる客観的な危険が具体的な証拠によって認められるとき」もしくは「被告人が自らの有罪証拠を隠滅すると推定するに十分な理由があることが具体的な証拠によって認められるとき」に改正すべきであり、また、同条第5号の削除、少なくとも「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると推定するに十分な理由があることが具体的な証拠によって認められるとき」への改正がなされるべきである、という、より具体性を帯びる改正案を提言した。
(5)えん罪を防止するための刑事司法改革グランドデザイン(2018年(平成30年)10月23日)
2007年(平成19年)以降、志布志事件を始めとして、多くの冤罪事件が発生している自体に鑑み、冤罪を防止するための刑事司法改革の全体構想を示すことを目的として作成された。保釈制度との関係では、原則と例外が逆転した運用がなされている現状を指摘し、刑事訴訟法第89条第4号、第5号を削除又は要件を厳格化すべきという提言がなされている。
以上のとおり、現在において日本弁護士連合会では、保釈に関して刑事訴訟法第89条第4号、第5号を削除、少なくとも、より要件を具体化させる改正を提言している。
- 刑事司法制度の動き
人質司法を取り巻く刑事司法制度も、一定の変容は見られる。
(1)「刑事訴訟法の一部を改正する法律」(2004年(平成16年))
2004年(平成16年)の法改正において、①公判前整理手続の創設、②被疑者段階の国選弁護制度の整備等がなされた。
まず、公判前整理手続においては、証拠開示が拡充され、かつルールが明確化されたため、被告人側はより多くの証拠の開示を受けることが可能となった。これにより、検察官が証拠請求をした供述調書だけでなく、それに関連する供述調書についても開示を受けることが可能となり、虚偽の自白調書が作成された場合には、供述の変遷等を確認することが可能となった。
次に、国選弁護制度においては、被疑者段階の国選弁護制度が整備され、死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件については、被疑者段階から国選弁護人を付すことが可能となった。
もっとも、上記法改正では、日本弁護士連合会が主張してきた人質司法の打破について抜本的な改革はなされなかった。
(2)「刑事訴訟法の一部を改正する法律」(2016年(平成28年))
2016年(平成28年)の法改正においては、①取調べの可視化、②被疑者段階の国選弁護制度の対象拡大、③証拠開示の拡充、④裁量保釈の考慮事項の明記等がなされた。
まず、取調べの可視化に関し、一定の対象事件については、取調べの全過程を録音・録画することが原則とされた。もっとも、日本弁護士連合会が主張してきた全件全過程の取調べの可視化は実現されず、対象事件は裁判員裁判対象事件及び検察独自捜査事件に限定された。
次に、被疑者段階の国選弁護制度については、対象事件の限定がなくなり、2018年(平成30年)6月からは、全ての事件について国選弁護人を付すことが可能となった。
次に、証拠開示に関し、検察官保管証拠の一覧表の交付請求が可能となり、証拠開示制度が拡充された。
さらに、保釈に関しては、裁量保釈判断にあたっての考慮事情が明文化された。
このように、2016年(平成28年)の改正は、自白が獲得されてきた取調べに対する規制が導入される等、刑事手続の大きな転換を図る改革がなされた。しかし、同改正においても、人質司法についての抜本的な改革をするには至らなかった。
(3)小括
以上に述べたとおり、松江宣言以後、人質司法の弊害を解消するため、一定の司法制度改革はなされている。もっとも、取調べの可視化については、一部の事件に限定されている上、可視化により、威圧的な取調べ等は防止できたとしても、長期間の身柄拘束により虚偽の自白がなされるという人質司法の問題については未だ解消されたとはいえない。また、裁量保釈に関し、考慮事情は明文化されたが、これは、実務上主張されてきた事情を明文化したに過ぎず、裁量保釈の要件を緩和したものではない。
このように、現在に至るまでの司法制度改革は、人質司法の弊害を一定程度緩和するためのものにとどまり、人質司法そのものを抜本的に解決するものではなかった。実際、後述のとおり、我が国における勾留請求認容率の高さや保釈率の低さについては大きな変化が認められない。
かかる状況からすれば、人質司法解消のための司法制度改革は、未だ不十分であるといわざるを得ない。
第3 日本の刑事司法の現状
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勾留請求の認容・却下の状況(表1)
1989年(平成元年)第32回人権擁護大会における松江宣言翌年の1990年(平成2年)の勾留請求人員数は72,597人であり、そのうち勾留請求許可人員数は72,471人であった。勾留請求認容率は、99.8%であった。
しかし、その10年後である2000年(平成12年)においても勾留請求認容率に変化はなく、さらに10年後の2010年(平成22年)において、わずか1%減少したにすぎない。
その後の推移は表1のとおりであり、2017年(平成29年)においても、勾留請求人員数は101,258人、勾留請求許可人員数は97,357人、勾留請求認容率は96.1%と未だ高い認容率である。
(表1)勾留請求の認容・却下率の推移
年 勾留請求人員数(人) 勾留請求許可人員数(人) 勾留請求却下人員数(人) 認容率 却下率 1990(H2) 72,597 72,471 126 99.8% 0.2% 2000(H12) 115,625 115,391 234 99.8% 0.2% 2011(H23) 111,699 110,373 1,326 98.8% 1.2% 2012(H24) 113,617 112,047 1,570 98.6% 1.4% 2013(H25) 111,476 111,476 1,790 98.4% 1.6% 2014(H26) 109,258 106,806 2,452 97.8% 2.2% 2015(H27) 109,845 106,979 2,866 97.4% 2.6% 2016(H28) 105,669 102,089 3,580 96.6% 3.4% 2017(H29) 101,258 97,357 3,901 96.1% 3.9% ※弁護士白書2018年版より抜粋
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保釈率等の状況(表2)
勾留請求認容率が高いままで推移する中、身柄拘束の解放手段である保釈率等の推移は表2のとおりであり、原則として認められるはずの保釈がいまだ十分に機能していないといえる。
(表2)通常第一審における勾留、保釈人員及びその割合(地裁)
年 新受人員 勾留状
発付人員保釈請求
人員保釈許可人員
(終局前)勾留率 保釈
請求率保釈率 拘束率 保釈
許可率(A) (B) (C) (D) (B/A) (C/B) (D/B) (B-D)/A (D/C) 1990(H2) 63,762 34,855 18,666 9,716 54.7% 53.6% 27.9% 39.4% 52.1% 2000(H12) 94,140 58,285 17,010 8,109 61.9% 61.9% 13.9% 53.3% 47.7% 2010(H22) 86,386 55,957 19,552 10,803 64.8% 34.9% 19.3% 52.3% 55.3% 2011(H23) 80,607 51,275 18,360 10,569 63.6% 35.8% 20.6% 50.5% 57.6% 2012(H24) 76,587 50,807 19,281 11,328 66.3% 37.9% 22.3% 51.5% 58.8% 2013(H25) 71,900 49,062 18,701 10,670 68.2% 38.1% 21.7% 53.4% 57.1% 2014(H26) 72,776 49,188 20,268 11,980 67.6% 41.2% 24.4% 51.1% 59.1% 2015(H27) 75,563 50,581 21,433 13,517 66.9% 42.4% 26.7% 49.1% 63.1% 2016(H28) 71,899 47,245 22,623 14,336 65.7% 47.9% 30.3% 45.8% 63.4% 2017(H29) 68,830 44,760 22,061 14,552 65.0% 49.3% 32.5% 43.9% 66.0% ※司法統計年報による延べ人員
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小括
以上のような勾留、保釈の現状からすると、依然として重大な人権侵害である身体拘束を利用した自白等の強要が行われる可能性があり、嫌疑の否認や黙秘権の行使等被疑者・被告人の防御権の適切な行使でさえ、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」(刑事訴訟法第60条第1項第2号、第89条第4号)、あるいは被害者等に対し「害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がある」(同法第89条第5号)とされ、極めて安易に身体拘束が続いているといわざるをえない。
第4 国際人権規約等
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国際人権(自由権)規約
(1)市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)条約(以下「国際人権(自由権)規約」という)第14条第2項は、「刑事上の罪に問われているすべての者は、法律に基づいて有罪とされるまでは、無罪と推定される権利を有する」と定めている。それにもかかわらず、無罪の推定を受ける権利を保障されている者に対して、刑事訴訟法第89条第4号において「罪証隠滅のおそれ」を理由として保釈を許さない、あるいは、同条第5号によって被害者等に対し「害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がある」として保釈を許さないことは、明らかに背理である。なお、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の保護のためには、証人や被害者等保護の態勢を整備し、または保釈に条件を付す(刑事訴訟法第93条第3項)ことによって、対応することが可能である。
(2)国際人権(自由権)規約第9条第3項は、「刑事上の罪に問われて逮捕され又は抑留された者は、裁判官又は司法権を行使することが法律によって認められている他の官憲の面前に速やかに連れて行かれるものとし、妥当な期間内に裁判を受ける権利又は釈放される権利を有する。裁判に付される者を抑留することが原則であってはならず、釈放に当たっては、裁判その他の司法上の手続のすべての段階における出頭及び必要な場合における判決の執行のための出頭が保証されることを条件とすることができる。」と定めている。
すなわち、保釈が原則であり、被拘束者の権利と位置付けられているのである。被拘束者の身体拘束は、あくまで例外的に「司法上の手続のすべての段階における出頭及び必要な場合における判決の執行のための出頭」を確保するためになされるのであって、訴追側の有罪立証の便宜を図るためではない。したがって、現在の保釈の運用が同条項に違反していることは明らかである。 -
拷問禁止委員会総括所見(2013年(平成25年)5月31日)
国連の拷問禁止委員会は、拷問及びその他の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い又は刑罰を禁止する条約(以下「拷問等禁止条約」という)の実施状況に関する日本政府報告について総括所見を発表し、取調べと自白について、日本の刑事司法制度が実務上、自白に強く依存していること等に深刻な懸念を表明し、自白中心主義の実務をやめることを求めた。 -
以上からも、我が国は、各条約の批准国として、保釈が被拘束者の権利であるという原則を遵守するとともに、自白偏重の運用を改める必要がある。
第5 現状打破のために
- 以上で述べてきたとおり、身体拘束を利用した自白の強要が行われてきた事実を踏まえれば、少なくとも、嫌疑の否認や黙秘権行使等の被疑者・被告人としての適切な防御権を行使した結果として権利保釈が認められなくなり、勾留が長期化する事態はあってはならない。
よって、現在、権利保釈除外事由として定められている「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(刑事訴訟法第89条第4号)」は削除すべきである。
直ちに削除することが困難な場合も、同号を改正し、司法権の行使を妨げる「客観的な危険」が「具体的な証拠」によって認められる場合に限ることを明文化すべきである。同号の「罪証隠滅のおそれ」が抽象的に判断されれば、被疑者・被告人が否認や黙秘をしている場合には、直ちに罪証隠滅の恐れがあるとして権利保釈が認められなくなってしまい、実際、現状ではそのような運用がなされてしまっていることの問題は大きい。
- また、「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき(同法第89条第5号)」も削除すべきである。
直ちに削除することが困難な場合も、被告人が同号に定められているような行為をすると推定するに「十分な理由」があることが「具体的な証拠」によって認められる場合に限ることを明文化すべきである。被疑者・被告人が否認や黙秘をしており、目撃証人等がいる事案において、直ちに同号の定める「相当な理由」ありとして権利保釈が認められなくなってしまうのでは、被疑者・被告人は適切な防御権の行使ができない。
以上の理由から、本決議を提案するものである。
以上